キャロライン田中の読書日記

読書やらの日記です。たまに音楽評も書きます。

【読書】ヘイト・スピーチとは何か:法曹の中にいる人間が出すべきではない駄本。芦部や四人組を100回読み返せ。

 【総評】2013年にもなって、なぜ岩波からこのレベルの本が出るのか出版社の良識を疑う本。ほかの本を読め。

ヘイト・スピーチとは何か (岩波新書)

ヘイト・スピーチとは何か (岩波新書)

 

amazonのコメントで著者の思想が書かれているので、まあそういう本かな、ということを抜きにしても(反自民、親民主)、良識を疑う。以下では思想抜きでひどいところを記載。

①彼女がいうヘイトスピーチ規制はもろ内容規制にあたるが、それが日本国憲法上できるだけ避けるべきである規制なことが一文字も書かれていない。芦部シェンシェーも四人組も長谷部もほかも、メジャーどころで賛成の憲法学者いないと思うけど。賛成ならその論拠を法律家らしく書けよ。

②マイノリティーってだれが規定するのかな?マイノリティー同士のヘイトは?どこまでヘイトなのかな?奄美は?

あと、この本の中には極端な例しか書いていないけど、たとえば「日本は韓国を併合し、インフラを整備しました」はどうなのかな?マイノリティーが不快に思ったらヘイトなのかな?それを国家権力である立法や裁判所がジャッジするんならば、定義は厳格じゃないと恣意的に使われるんじゃないかな?そこの配慮が全くない。

ヘイトスピーチ規制がある国として、イギリス、ドイツ、カナダ、オーストラリアが挙げられているけど、少なくとも前の3つは移民政策失敗しているよね。それに対する社会問題もあるよね。ドイツはメルケルが失敗って明言してるよね。多民族共生って幻想なんじゃないの?という視点がまったくない。まあ思想的にそう書かざるを得ないと思うけど。

④フランスの国民戦線のことが否定的に書かれているけど、マリーヌは少なくとも「ヘイトスピーチ禁止」って言っているはずなんだけど。書かないのはわざとかな?

⑤アメリカが条約を留保しているのは、違憲だから…民主主義の要請…(略)めんどい。

⑥「中国にはヘイトスピーチを規制する法律が…」スピーチを規制する前に、チベットウイグルを何とかしろよ。無視ですかそうですか。わかりません!><

 

いろいろ突っ込みどころがあるのは、思想的に隠したいからなのかな?それならば悪質だし、そうでなければこういう問題に手を出すべき知的レベルじゃないんじゃないかな。

司法試験合格に求められる資質と、法・政治的に思想できる資質は違うものなんだな、ということが学べたことはよかった。ヘイトスピーチについてはほかの本なりを読んだほうがいいと思う。岩波は2013年にもなってこのレベルを新書で出したことを猛省すること(怒)。